┃ スピードポイント式で万馬券を獲れ


計算いらずのお手軽スピード指数

  競馬予想において「スピード指数」という考え方はすっかり定着したと言える。大抵の競馬新聞にはスピード指数が掲載されているし、「スピード指数的に抜けている」と予想を力説しても言っても「はぁ?」とけげんな顔をされることなくある程度の説得力を持って受け入れられるだろう。

 スピード指数は、レースの走破タイムを基に競走馬の能力を測ろうという試みである。異なる条件で走ってきた馬達を、同じものさしで計ることで、今レースにおける優劣を見極ることを目指す。

 基本的な算出の仕方は、各競馬場・各コース毎の基準タイムを算出し、実際の走破タイムと基準タイムの差からスピード指数を算出する。加えて、開催が進み馬場が荒れてきたり、雨が降ってたりするとそれだけ走破タイムも遅くなるので、個別のレース毎に馬場差を出して補正をすることも多い。

 また、背負っている斥量(負担重量)による補正や、あるいは極端なスローペースやハイペース時の補正、場合によっては、レースでの位置取りや風なども補正の対象にしたりする。

 競走馬の絶対能力を割り出すために、膨大な情報と計算を駆使して算出されるのがスピード指数なのである。かくいう僕も西田式スピード指数に始まり、石川式、タイムフィルターと家にあるだけでも、10冊以上のスピード指数関連の書籍を所持してて、実際にスピード指数を計算していたこともあるが、とにかく手間がかかる。

 そんな中にあって、「スピードポイント式で万馬券を獲れ」は異彩を放つ一冊だ。ここで解説されているスピード指数(スピードポイント)の計算はとにかくシンプル。使うのは、前5走分の距離と走破タイムだけ。競馬場、芝状態、レースペース、斥量、なんてファクターは全く使わない。

 スピード指数に精通した人なら、「中京の平坦コースと中山の急坂があるコースのタイムを同列に比較しても意味ないじゃん」「馬場状態によって走破タイムは変わってくるだろう」と思うに違いない。

 筆者はこれを

「不良馬場と良馬場の間に係数か何かを決めて、たしひきしたところで、データが正確になるというものではない。「不良馬場が得意な馬もいれば、不得意な馬もいるから」という論点がタイム以外に投入されて、何のことはない、面倒な思いをして、ますます怪しげな数字をつくるだけのことだ」

と一蹴する。

 スピードポイント式の真骨頂は、非換算・非補正。
 1800mのレースを1.45.0で走れば、自動的にスピードポイント「99.7」になる。
 中山で走ろうが小倉で走ろうが、良馬場だろうが重馬場だろうが、ハイペースだろうがドスローであろうが、99.7なのである。

 距離と走破タイムさえ分かれば、後は本の巻末の早見表からポンポンとスピードポイントを拾っていく。1レースの出走馬全部の過去5走のスピードポイントを拾うのに20分もかからない。計算いらずのお手軽なスピード指数なのだ。そして過去5走のスピードポイント上位馬3頭と前走上位馬3頭を買う、これで終わり。

 そのときに注意することはふたつある。
 ひとつめ。芝とダートではさすがに走破タイムに差が出てくるので、今回が芝のレースだったら、前5走での芝レースだけを拾っていく。
 ふたつめ。今回のレース条件から大きく逸脱した条件時でのスピードポイントも無視する。今回2400mのレースなら、1400m以下のレースの数値は考慮しない、といった具合。

 そんなんで本当に当たるのか?と疑問を感じる人も多いだろう。ということで2008年のオークスでやってみる。前5走の距離と走破タイムを巻末のスピードポイント早見表で見比べた結果が下記だ。(カッコで括られた数字は、1400m以下かダートのレース)

馬番   馬名      前走  前々走 3走前  4走前  5走前
 1 シャランジュ    97.1  96.5  96.3  98.5● 96.6
 2 ハートオブクィーン 98.0  95.2  98.0  98.1  96.4
 3 アロマキャンドル  96.4  96.5  94.5  97.9  96.4
 4 レッドアゲート   96.2  95.2  94.5  93.1  95.1
 5 ムードインディゴ  94.5  94.6  96.3  93.1  95.1
 6 エフティマイア   98.1● 96.6  96.0 (98.3) 96.7
 7 ブラックエンブレム 97.5  95.2  97.5  93.2  96.1
 8 マイネレーツェル  97.9  98.0  95.7  96.5 (98.5)
 9 ライムキャンディ  95.2  96.9  95.1
10 レジネッタ     98.2● 98.0  95.7  98.3  97.2
11 ジョイフルスマイル 93.6  96.2  96.2  97.1 (97.0)
12 ソーマジック    98.1● 96.6  97.7
13 スペルバインド   96.2  93.9  96.6  94.8  90.2
14 カレイジャスミン  96.0  94.6  96.2  98.2  96.1
15 トールポピー    97.8  96.8  98.8● 97.2  94.5
16 エアパスカル    97.7  96.8  96.7  96.6
17 オディール     97.4  96.8  98.5● 98.4 (99.2)
18 リトルアマポーラ  98.0  97.1  93.6  96.9  93.4

 前走上位馬3頭は、レジネッタ、エフティマイア、ソーマジックの桜花賞上位3頭、過去5走をひっくるめての上位馬は、トールポピー(阪神JF)、オディール(阪神JF)、シャランジュ(阪神JF)の3頭となったので、馬券はこの6頭のボックスから買っていく。結果はご存知の通り。スピードポイント的には、オークスは順当な結果だったということになり、44万馬券がいともたやすく取れたのである。

 ついでに2008年のダービー予想も、スピードポイントでやってみる。

馬番   馬名       前走 前々走  3走前  4走前
 1 ディープスカイ    98.4● 98.7● 97.7  95.9
 2 サクセスブロッケン (93.5)(95.6)(90.8)(90.7)
 3 ブラックシェル    98.1● 94.5  94.8  95.6
 4 タケミカヅチ     94.6  94.7  97.0  96.8
 5 アグネススターチ   95.1 (91.7)(90.6)(90.9)
 6 モンテクリスエス   93.6  94.0  94.5  93.2
 7 スマイルジャック   94.1  95.8  95.8  95.3
 8 アドマイヤコマンド  94.0  98.3● 95.9
 9 マイネルチャールズ  94.6  94.9  93.8  92.8
10 レインボーペガサス  94.6  95.3  95.9 (90.6)
11 レッツゴーキリシマ  96.9● 94.5  95.3  95.7
12 サブジェクト     94.0  97.3  96.1 (89.7)
13 ベンチャーナイン   95.2  93.8  95.1  94.2
14 エーシンフォワード  96.9● 97.5  97.7● 97.7
15 フローテーション   93.8  95.8  92.5 (89.3)
16 メイショウクオリア  90.4  92.4 (91.3) 95.3
17 ショウナンアルバ   93.6  95.6  97.1  95.6
18 クリスタルウイング  93.8  93.0  92.0  92.0
(※:カッコ内の数字は、ダート戦)

 前走上位馬3頭は、ディープスカイ、ブラックシェル、レッツゴーキリシマ、エーシンフォワード(レッツゴーキリシマ、エーシンフォワードは同ポイント)の4頭。過去4走ひっくるめての指数上位馬は、ディープスカイ、アドマイヤコマンド、エーシンフォワードの3頭である。

 ディープスカイ、ブラックシェル、レッツゴーキリシマ、エーシンフォワード、アドマイヤコマンド、の5頭はまず馬券候補決定である。

 問題はサクセスブロッケン。サクセスブロッケンは過去ダートのレースしか走っておらず全くの未知数。そこでスピードポイントの趣旨からは外れるが、芝に換算するとどれくらいの数値になるか考えてみる。

 レインボーペガサスやメイショウクオリアのように、ダートを走った馬が次走で芝を走ると、平均4ポイント数値を上げてきている。サクセスブロッケンの前走は93.5なので、今回のダービーでは97.5くらいで走れることになり、この数値は十分に勝ち負けができる値である。

 なので、上記5頭とサクセスブロッケンを加えた6頭ボックスが、スピードポイント式での買い目となる。

追記:6頭の内、ディープスカイとブラックシェルが1、3着となったものの、スピードポイントで12番手評価のスマイルジャックが2着に入ってハズレ。
 しかしスピードポイントを見ると、ディープスカイが頭ひとつ抜けていることがよく分かる。ダービーを買ったのは至極当たり前だったと言えるだろう。
 ちなみに、僕はこのダービー取りましたよ。

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