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著:古沢 秀和 |
●投資競馬の最良の教科書
先日このようなニュースがあった。
・「競馬で7割的中」と70億円集める...東山倶楽部の3人逮捕 (Yahoo!ニュース)
4000人の会員から60~70億集めていた詐欺事件だが、70%の的中率で1日の回収率を105%に設定、というこの辺の目標設定が妙に現実的でうまいと感心した。
そんな確実で美味しい話があれば、自分達だけでこっそりやるよね、騙されるなんてバカじゃない?って外野の人は思いがちだが、あずき相場詐欺で数百万を騙し取られた父親の姿を見て育った身としては、とても他人事とは思えない。
プロの詐欺師ってほんと怖い。電話セールスでも、話をいちいち聞いて丁重に断る人がいるけど、セールスだと気付いた瞬間に間髪いれず電話を切らないとダメ。1秒聞けば騙される確率が1%上がると言ってもいいくらい、詐欺師のトークは不思議な魔力を帯びている。
数分聞けば確実にカモリストに入れられてしまうので、礼儀がどーのこーの考えるよりも一刻も早く電話を切って自衛するべき。相手はプロの犯罪者、情けは無用。
さて、前振りが長くなってしまったが、競馬を投資として捉えるアプローチ自体は決して悪くはない。購入金額に強弱を付けることで、的中率を上げることなく回収率を大幅に向上させることができるだろう。しかも投資競馬に必要なのは、リスク管理と鉄の意志のふたつのみ。これだけを長期間に渡って維持することができれば絶対に成功する。インチキな競馬投資会社なんて必要ない。
そんな魅力を持つ投資競馬だが、もちろん打ち出の小槌でも金の卵を産むガチョウでもなく、きちんと理解していないと痛い目に遭うのは間違いない。そこで今回は投資競馬のメリット・デメリットをきちんと理解するための教科書として、「ストック式錬金術 - 馬券投資法」(著:古沢 秀和、刊:白夜書房)を紹介しよう。
投資競馬にはふたつのアプローチがある。
マーチンゲールやココモ式に代表される、外れたときに次に賭け金を増やすやり方。もうひとつは、コロガシと呼ばれる、当たったときに次に賭け金を増やすやり方だ。
今回紹介するストック式錬金術はコロガシ系の投資法だ。投資系の競馬本というと、多数の計算式がこれでもかと出てくることも少なくないが、ストック式は極めてシンプル。
(1)資金を5分割して、最初は資金の20%からスタート。
(2)収支最低ラインは1.3倍。1.3倍を上回る配当に賭ける。
買い方は自由。複勝1.3倍一点買いでもOKだし、複数馬の単勝に賭けてトータルで1.3倍を目指してもOK。
(3-1)当たった! 1.3倍を上回る配当があった場合、その余剰分をプールし、前回の賭け金のきっちり1.3倍分を今回の賭け金にする
(3-1)外れたorz (1)に戻る。5連敗したら終わり。
文章で説明すると難しそうだが、下記のフローチャートを見るとそんなに難しくないことが分かるだろう。
1000円が1500円になったら、200円はとりあえずプールしておいて、1300円を次回のコロガシの資金とする、ということだ。もし外れたとしても、プールした200円が残っているので資金がゼロになったわけではない。
一回でも外れたら全て水泡に帰するのがコロガシ系の弱点だが、配当金を全て次回の賭け金に回さないことで、リスクヘッジしているのである。その分倍倍ゲームでお金が増えていくコロガシの破壊力が損なわれるものの、1回や2回失敗しても取り返すことができる安心感は捨て難い。
高水準の的中率が求められるコロガシには鉄の意志が要求される。
僕は以前、1000円から複勝コロガシをやったことがある。1日に1レース、複勝一点買いで転がしていく。おそらく8連勝くらいしたのだろうか、手持ちの資金は7万円にまで増えた。さすがに怖くなってきて、10万超えたところで止めようと思ってた矢先、7万全部を賭けて、外した。元々1000円から始めているので、純損失は少なかったが、気持ち的には7万円を損したような喪失感に襲われた。
ストック式錬金術では、運用例として初回投資金3000円から始まり、100回コロガシて21万円強の利益を獲得したケースが紹介されているが、この場合でも20回外している。それでも21万円強の利益が出ていることから、コロガシにおけるプレッシャーは多少緩和されるのではないだろうか。
7万を賭ける時にストック式を知っていたら、もう少し賢い運用が出来たのではないか、と悔やむばかりだ。
ストック式錬金術自体も優れた投資競馬だと思うが、それ以上に全体の4割ほどのページを割いて、投資競馬のメリット・デメリット、心構え、運用例についてしっかりと触れていることに好感が持てる。投資競馬に興味が無い人でも、ここの箇所は参考になるのではないだろうか。
投資競馬に必要なのは、リスク管理と鉄の意志、と先で書いたが、運用に必要なのは複雑な計算式ではなく、ひたすらメンタル面のコントロールである。投資競馬とは魂を削るようなストイックな存在なのだが、ストック式錬金術ではその部分を逃げないできちんと捉えていることからも、投資競馬の入門書としてオススメしたい。
逆に言えば、競馬を投資にできると豪語する競馬予想会社や、安全・確実と謳う競馬投資本は信用できない、ということだ。美味しい話には騙されないようにゆめゆめご注意いただきたい。
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